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【元銀行員が解説】金融機関から運転資金融資を受ける方法とコツ!!

今回の記事では、事業を行う上で欠かせない「運転資金」について解説します。

事業をやられていると「運転資金」ってよく耳にする言葉だと思います。
「事業運営に必要な資金」としてザックリと捉えていることが多いかもしれません。

事業者の方が仰る「運転資金」と、銀行員が考える「運転資金」には少しズレがあるようにも感じていました。
どちらも間違いではないと思いますが、「運転資金融資」を受ける際には、銀行員の考え方を知っておくと役に立つはずです。

そういった観点から、この記事では”銀行員が考える”運転資金とは何ぞやという基本的なところから、業種ごとの目安、融資を受けるためのヒントを記載しました。

資金調達時のご参考になれば幸いです。

目次

運転資金とは

運転資金の定義

運転資金とは、事業を営む企業または個人事業者が事業を運営するために必要となる資金のことをいいます。
日常的な経済活動を円滑に行うために必要となる短期的なの資金のことをいいます。

仕入れや経費の支払い、売上の回収などのお金の出入りは日常的に発生しているかと思います。
こういった「短期間」のうちに使われたり、回収されたりする資金のことを運転資金と呼びます。

運転資金とは具体的にはどんなお金?

仕入れ先への商品代金や原材料費の支払いなどの商売上の資金、従業員への人件費、家賃、光熱費などの経費などが運転資金に含まれます。
また急な支払いやに備えるために、手元に確保している現金や預貯金も運転資金の一部といえます。

一方で、不動産の購入資金、機械の購入資金、有価証券などの購入資金は運転資金とはいいません。

お金に色はないとよくいわれますが、「お金に色を付けること」がある意味銀行員の仕事です。
その色によって、融資の方法、審査のハードルなどが変わってくるからです。

融資を受ける側としても、「お金に色を付けて」考えると、銀行員が考えてること、審査のポイントなどが見えてくると思います。

銀行員の頭の中
ちゃんと数字で説明できる範囲かな。
他の用途は混じってないかな。

運転資金の用意がないとどうなる?

事業を始めるとき、商品を仕入れる、オフィスを借りるときの保証金や家賃、水道光熱費、人件費などのお金の支払いが先に発生します。

こういった金はいわゆる「運転資金」ですが、支払いができなければ事業を開始することができません。

また、商品が売れてお金が入ってくると、そのお金を使って別の商品を仕入れ、家賃、水道光熱費、人件費を支払うことになります。
最初に仕入れた商品がすべて、すぐに売れるとは限りません。
掛け売りの場合は、お金はすぐに入ってきませんが、別の商品を仕入れ、家賃、水道光熱費、人件費を支払う必要があります。

小売業であれば、商品を仕入れて在庫として持っている間も、経費を支払う必要があります。
製造業であれば、原材料を仕入れて商品を製造している間にも、原材料費の支払いや人件費、工場の経費などの支払いが発生しますよね

事業を行っていると、このように運転資金は常に必要になってくるのです。
日々銀行の通帳残高は変化しているのではないでしょうか。

「運転資金」は、事業を始めるためや、事業を継続していくために必要不可欠な資金です。
また、どんな業種でも運転資金は必要といえます。

したがって、「運転資金」を確保することが、事業を始める時に真っ先にやることになります。

必要な運転資金の目安や計算方法

経営に支障をきたさない運転資金の目安は?

「運転資金」は、事業を始めるためや、事業を継続していくために必要不可欠な資金でしたね。
経営に支障をきたさないために必要な運転資金の金額は、業種や売上・事業の規模によって異なります。
原材料の在庫や商品在庫を持つ必要があるか、売上金を回収するまでの期間も業種ごとに異なります。

業種ごとにだいたいの目安について記載します。
月商とは「毎月の売上高」のことですが、月によって売上高が変わる場合は、平均的な数値と考えてください。
銀行員は運転資金について語るとき「月商の〇ヵ月分」という言い方をします。

・小売業の場合 ~月商の2~3ヵ月分
 売上は現金回収が多いが、棚卸資産(在庫)を抱えている期間分

・製造業の場合 ~月商の4~6ヵ月分
 原材料の仕入から製造にかかる期間に加えて、売上債権回収までの期間が長い場合がある

・飲食・サービス業 ~月商の1~2ヵ月分
 売上は現金が多く、棚卸資産(在庫)もほとんど抱える必要がない

・建設業 ~月商の4~6ヵ月
 売上金の回収期間が長くなることが多い 

・医療法人 ~月商の2~3ヵ月
 回収の中心となる社保国保からの入金までの期間、棚卸資産(在庫)は医療材料や薬剤など

・スポーツクラブ ~月商の1~2ヵ月分
 会員からの回収は現金またはカード払いが多く、棚卸資産(在庫)は特にない

どのように適性な運転資金を計算すれば良いのか?

理論上、必要となる運転資金は次のような計算式で算出します。
まだ実績がない場合は、事業計画の数字を用いて計算することも可能です。

銀行員は融資の稟議書上で、この計算式でその企業に必要な運転資金を説明します。

理論上の所要運転資金

売上債権(売掛金や受取手形) + 棚卸資産(在庫) - 買入債務(買掛金や支払手形) + 現預金

前項の業種毎の運転資金のの目安の根拠を記載します。
あくまで一般的な考え方です。

取引先との力関係などによって回収や支払いの条件は異なります。
また製造業の場合は製造にかかる時間も製品によって異なりますので、実態に合わせて目安を計算してください。

・小売業の場合 ~月商の2~3ヵ月分
 ⇒ + 売上債権:1ヵ月程度(カード決済も増えているため)
   + 棚卸資産:2~3ヵ月程度(仕入れたものは、これぐらいの期間で売れてほしいですよね)
   - 買入債務:1ヵ月程度(月末締め、翌月末払いが多いでしょうか)
   + 現預金 :1ヵ月程度

・製造業の場合 ~月商の4~6ヵ月分
 ⇒ + 売上債権:2~3ヵ月(月末締め、翌月末~翌々月末の回収が多いでしょうか)
   + 棚卸資産:3~4ヵ月(製造に2~3か月、完成してから売るまで1か月程度保有しているでしょうか)
   - 買入債務:2~3ヵ月程度(月末締め、翌々月末~3か月後払いが多いでしょうか)
   + 現預金 :2~3ヵ月程度

・飲食・サービス業 ~月商の1~2ヵ月分
 ⇒ + 売上債権:1ヵ月未満(カード払い比率が高ければ売上債権が発生するが1ヵ月未満)
   + 棚卸資産:1ヵ月(食材・お酒等は短め、他に物販等があれば少し長くなるかもしれません)
   - 買入債務:1ヵ月程度(月末締め、翌月末が多いでしょうか)
   + 現預金 :1ヵ月程度 

・建設業 ~月商の4~6ヵ月
 売上金の回収期間が長くなることが多い
 ⇒ + 売上債権:3~4ヵ月(着工時30%、上棟時40%、完工時30%という条件が多いでしょうか)
   + 棚卸資産:1ヵ月(建築材料を仕入れる時期にもよりますが)
   - 買入債務:1~2ヵ月程度(月末締め、翌月末~翌々月末払いが多いでしょうか)
   + 現預金 :1~2ヵ月程度

・医療法人 ~月商の2~3ヵ月
 ⇒ + 売上債権:1~3ヵ月(社保は診療月の翌々月20日、国保は翌月15日の入金、)
   + 棚卸資産:1~2ヵ月(医療材料、薬剤の保有期間)
   - 買入債務:1~2ヵ月程度(月末締め、翌月末~翌々月末払いが多いでしょうか)
   + 現預金 :1~2ヵ月程度

・スポーツクラブ ~月商の1~2ヵ月分
 ⇒ + 売上債権:1ヵ月未満(現金、カード払いでの月謝)
   + 棚卸資産:-(特に在庫になるようなものは保有しないと思います)
   - 買入債務:-(仕入れも発生しないと思います)
   + 現預金 :1ヵ月程度

増加運転資金の考え方

売上高が大きく増加する計画や見込みがある場合、主要な取引先との回収支払条件が変わる場合、新商品の在庫が増える場合などは「増加運転資金」として、理論上の所要運転資金に上乗せした金額で融資を受けることもできます。

理論上の所要運転資金

売上債権(売掛金や受取手形) + 棚卸資産(在庫) - 買入債務(買掛金や支払手形) + 現預金

上記の理論上所要運転資金の計算式に出てくる各項目を分解してみましょう。
月商とそれぞれの〇〇期間に分解できます。

売上債権=月商×売上債権回収期間(売上債権が回収できるまでの期間)
棚卸資産=月商×棚卸資産保有期間(在庫を保有している期間)
買入債務=月商×買入債務支払期間(買入債務を支払うまでの期間)

この式からもわかるように、増加運転資金の説明がつくのは、
 ①月商(売上高)が増加する場合
 ②売上債権が回収できるまでの期間が伸びる場合
   例:主な販売先からの回収が、翌月末払い→翌々月末払いになる
 ③棚卸資産(在庫)を積み増す場合
   例:新商品を取り扱うため棚卸資産を増やす
 ④買い入れ債務を支払うまでの期間が短くなる
   例:主な仕入先への支払が、翌々月末払いから翌月末払いになる

ただし注意が必要なのは、売上債権回収期間や買入債務支払期間を変更して欲しいという依頼の背景には、その取引先の資金繰りが忙しくなっている可能性があります。
今後不良債権化や安定的な仕入れができなくなる前兆ともいえます。

銀行員もこの点を懸念すると思うので、背景なども説明できるよう確認しておきましょう!

銀行員の頭の中
増加運転資金が発生するんだな。数字で説明できそうかな。
あと、ネガティブな理由じゃないよね?確認しておかないと!  

金額算出時の注意点

不良債権・不良在庫・支払いのスキップ

売上債権、棚卸資産(在庫)、買入債務の回転期間が業界平均よりも長い場合は、不良債権、不良在庫、支払のスキップ(先延ばし)を疑われることがあります。

回転期間は以下の計算式で算出できます。
 売上債権回転期間=売上債権÷平均月商
 棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均月商
 買入債務回転期間=買入債務÷平均月商

そのため実績または事業計画上の回転期間が、業界平均と大きく乖離していないかをチェックしておきましょう。
大きく乖離している場合(おおむね1ヵ月以上)、その理由を説明できるようにしておきましょう。

  例:主要な取引先からの売掛金回収期間が〇ヵ月と平均より長いため
    年末商戦に向けて一時的に棚卸資産(在庫)を積み増している

実際に不良化している場合は、その分を除いた金額までしか融資は受けられないと考えてください。
また不良化した部分は損失となる可能性があります。
その場合でも赤字や債務超過(自己資本がマイナス)にならないことなどが審査上の論点になります。

銀行員の頭の中
売掛金が大きく増えてたのは〇〇㈱から回収できてないのが原因かー。これが貸倒損失になったらどうなる??
とりあえず所要運転資金からは除かないと。
臨時格付見直しも必要かも。。  

業界平均の回転期間はこのサイト(e-Start 政府統計の総合窓口)にあるエクセルをご参照ください。

政府統計の総合窓口
ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 各府省等が登録した統計表ファイル(Excel,CSV,PDF形式)を検索し、閲覧・ダウンロードすることができます。また、データベース化された一部の主要な統計では、表示項目...

主要な業種の回転期間

売上債権回転期間棚卸資産回転期間買入債務回転期間
全業種1.881.081.31
製造業2.301.611.58
陸運業1.700.141.08
卸売業2.140.821.77
小売業0.870.930.91
不動産業0.454.430.56
サービス業1.350.300.72
建設業2.151.071.47
医療福祉業1.490.150.32

運転資金以外の混入

実際に必要な資金とこの計算式の結果が異なる場合、運転資金以外の何かもまぜこぜになっている可能性があります。
工場建設資金や機械購入資金などの設備資金、有価証券の購入資金などの投資資金も必要額に加えていませんか。
これらの資金は、運転資金ではないので、明確に区別して考える必要があります。

理論上の所要運転資金

売上債権(売掛金や受取手形) + 棚卸資産(在庫) - 買入債務(買掛金や支払手形) + 現預金

繰り返しになりますが、銀行員の仕事はお金に色を付けることです。
他の資金を混ぜ込むと、やはり金額の説明が付かなくなってしまうので注意が必要です。  

現預金の適正水準

理論上の所要運転資金には「現預金」も加えています。
現預金は最低「月商の1か月程度」は必要、2~3か月分あれば安心と言われています。
経費を余裕をもって支払い、突発的な資金繰りに対応できるためです。

所要運転資金を計算する際は、この現預金が調整弁として機能します。
もし、少し余裕を見て調達額を増やしたいときは、現預金を調整弁として、銀行の担当者とうまくコミュニケーションを取ってください。

「△△の理由で実際の決算書上の現預金残高は●●となっているが、本来あるべき残高は〇〇だから、全体の運転資金は▲▲となる」という説明をすることもできます。

運転資金の融資を受けられる金融機関

銀行や信用金庫、信用組合の融資

銀行や信用金庫、信用組合からは、「理論上の所要運転資金」を上限として、運転資金の融資を受けることができます。
「増加運転資金」を除き、「理論上の所要運転資金」以上に、運転資金の融資を受けることは出来ませんん。
これはプロパー融資であっても、各自治体の信用保証協会の保証付き融資でも同じです。

銀行のプロパー融資の場合、運転資金融資は1年が限度です。
既に取引が長く、毎年長期の運転資金を調達している場合は別ですが(この場合はまた別の考え方)、運転資金は短期資金のため、1年となるのが基本です。

ただし、保証協会保証付貸出では、保証協会が長期で承認している場合は、長期で融資を受けることができます。

理論上の所要運転資金

売上債権(売掛金や受取手形) + 棚卸資産(在庫) - 買入債務(買掛金や支払手形) + 現預金

日本政策金融公庫の新規開業資金融資

日本政策金融公庫では新規開業資金融資で運転資金の融資を行っています。
適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる場合、資金を借りることができます。

運転資金の場合の上限は4800万円で、最長10年間借りることができます。

ノンバンクなどのビジネスローン

ノンバンク、いわゆる銀行や信用組合、信用金庫以外の貸金業者からビジネスローンを調達することもできます。

銀行融資などに比べて審査は簡便で迅速に融資を受けることができます。なかには即日実行可能といったスピードで融資を受けられます。

借入れの限度額は事業規模や売上高にもよりますが、1000万円程度までが一般的です。
一方で、銀行などに比べて金利は少し高い傾向です。

補助金

国や地方公共団体などが事業資金用に用意している補助金を受けることも可能です。事業開始に必要な費用の3分の2程度までの補助を受けられるものが多いですが、上限は200万円程度となっています。

事業計画書を提出し、審査を通過する必要がありますが、返済の必要はありません。

銀行から運転資金の融資を受ける時の準備

融資を申込む前に準備すべきポイント① 「申込金額の明確化」

運転資金の場合、資金使途を明確化する必要はありませんが、必要な金額を数字で説明できるように準備してください。

必要な額は直近の決算、または事業計画から計算できる理論上の所要運転資金です。
設備資金や投資資金は区別してください。
上記の計算式よりも必要になる場合、現預金で調整するか、売上が増える計画で説明することも可能です。

売上が増える場合は、その背景も説明できるようにしましょう。

理論上の所要運転資金

売上債権(売掛金や受取手形) + 棚卸資産(在庫) - 買入債務(買掛金や支払手形) + 現預金

少しぐらい数字を丸めることも可能です。その場合、稟議が拠点長決裁であればおそらく問題ないのですが、本部に上がる場合は減額される可能性があります。

この案件が誰の決裁になるのか確認してみましょう。
質問の細かさや審査の時間など、今後の目安にもなります。

またすでに他の金融機関で運転資金の借入がある場合は、「運転資金 ₋ 既存運転資金借入」が新たに運転資金として借入できる上限となります。

間違っても「目いっぱい融資してください」と銀行員に言ってはいけません。
「この人何も分かってない」と不審に繋がることになります。

融資を申込む前に準備すべきポイント②「融資申込書」

融資申込書を作成しましょう。
銀行によっては制定の書式を用意して、提出必須としているところもあると思います。

提出は必須ではなくても、情報を整理し、要望事項を具体的に伝えるという観点で作成することをお勧めします。
この場合は任意の書式で問題ありません。

記載内容は、以下の項目が含まれていればOKです。

  • 融資申込額
  • 資金使途
  • 返済原資
  • 期間
  • 金利
  • 担保・保証の条件
  • 借入希望日
  • 事業内容
  • 主要な商品やサービスの流れ(仕入⇒在庫⇒販売⇒現金回収)
  • 主要な仕入先、販売先との決済条件
  • 市場の動向や競合他社の状況など

なお、融資申込書には銀行印を押すことをお勧めします。
銀行の担当者が訪問してきてくれた場合は、できれば「預かり証」を書いてもらいましょう。
銀行印が押してある書類は貴重品として取り扱われるので、担当者以外の上席や同僚の目にも触れることになります。
それによって、担当者による”握りこみ”を防ぐことができます。

銀行員の頭の中
このお客さん、すごくきっちり整理されてる!
そのまま稟議に書けそう。
早く上席の訪問をセットしよう!

融資を申込む前に準備すべきポイント③「過去3期分の税務申告書と決算書」

決算書は税務申告書一式と勘定科目明細も含めて過去3期分用意してください。
場合によっては4期分欲しいと言われることもありますが、企業をよく理解してもらう観点で提出してください。

融資を申込む前に準備すべきポイント④「別途定められた必要書類」

保証協会保証付きの融資の場合や、日本政策金融公庫での融資の場合は、必要書類が定められているので、ホームページなどで確認して用意しましょう。
書式も制定されたものが用意されています。

運転資金の融資を受けやすくするコツ

借入期間分の現実的な事業計画を立てる

借入期間と同じ期間の事業計画は必須です。
売上高は平均単価、顧客数/販売数量、頻度などに分解して、現実的な計画を作ってください。

どの項目が過去どのように推移し、今後どのように推移していくのかが売上高計画の説明に繋がります。
単価や顧客数/販売数量が急に変動する場合は、市場の動向や競合他社の状況などが背景となっていることが多いと思います。

事業をやっている肌感覚として持っているイメージと、数字とを結びつけることでより説得力がある説明ができます。

借入期間分の現実的な返済計画を立てる

事業計画書の中に、返済計画も入れ込んでください。

借入の返済に回せる資金は、事業に必要な経費や税金を支払った後、手元に残るお金です。
決算書でいうと「税引後当期利益+減価償却費」(これをキャッシュフローといいます)です。

毎年の返済額がこのキャッシュフローの金額の範囲内に収まっているかどうかがポイントです。
収まっていない場合は、現預金を取り崩すことになり、無理な返済計画となります。

また、計画通りに売上が立たない場合を想定して、例えば売上高が80%になっても、返済できる資金が残るか検証できているとベターです。
銀行の担当者は安心して稟議を書き進めることができます。

社長の想い

これまで数字で説明できることが重要だ、とさんざん説明してきましたが、実はそれだけでは無味乾燥で不十分です。

会社の理念や事業に対する社長の想いを伝えることが最も重要です。

なぜこの事業をやっているのか、何を達成したいのか、などの社長の想いが会社に詰まっているはずです。
また従業員もそういった想いに共感し、また自己実現のために働かれていると思います。

銀行員もそういった「想い」にちゃんと共感します。
共感すれば、担当者が書く稟議書にその「想い」と担当者の「熱意」が吹き込まれ、文章に説得力ができてきます。
ちょっとやそっと上席や審査担当者か受けようが、跳ね返します。

銀行員の頭の中
この社長、熱いな!すごい!
マジメだし、応援したい。何が何でもこの案件やりきるぞ!

逆に共感できない場合、稟議書の筆が進まず薄い内容になってしまうため、審査に時間がかかる、場合によっては融資が下りない可能性もあります。

個人事業主でも金融機関で運転資金の融資を受けられる?

銀行から運転資金融資を受けられるか?

個人事業主が銀行から融資を受けるのは難しいと考えてください。
特に事業開始前、開始直後はほぼ可能性はゼロです。
ただし、すでに3~5年程度事業が安定的に推移している場合は、銀行からでも融資を受けられる可能性があります。

個人事業主が運転資金融資を受けるとすればどこで借りられるのか?

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は個人事業主向けに新規開業資金融資を行っています。
政府系なので安心感や信頼感もあると思います。
創業前または間もない事業者を対象とし融資制度が充実しているのと、職員も対応に慣れています。

運転資金の融資上限は4800万円です。

ノンバンクなどの貸金業者

ノンバンクなどの貸金業者も個人事業主を対象に、「ビジネスローン」として運転資金融資を行っています。
無担保無保証での融資も可能で、即日~数日で融資が可能です。
一方で、銀行や日本政策金融公庫に比べて金利は高くなります。

上限は1000万円て程度です。

ノンバンクなどの貸金業者からの調達の場合は、「総量規制」を気にする必要があります。
「総量規制」とは、貸金業法によって定められた年収総額の3分の1を超える借入を制限するルールで、貸金業法の対象となる貸金業者が対象となります(銀行や信用金庫、信用組合などは対象外)。

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